Webaddictエッセイ大賞2016結果発表

作品詳細

佳作

「「名前」」

チエ様(57歳) Webaddict岐阜鷺山(Webaddict歴:1年0カ月)

 月初めの計測が終わったある日。コーチが「これ、皆様に差し上げているので、お読み下さい。」と、手作りの一冊の冊子を渡してくれました。表紙には、リボンの絵と、「親愛なるメンバー様へ」の文字。Webaddict岐阜鷺山スタッフ一同とありました。

 帰宅後、早速読み始めました。Webaddictに対する思いや、エピソードが記されておりました。チャキチャキ元気で、江戸っ子風なコーチ。優しい話し方のコーチ。さわやかで明るいコーチ。それぞれ、持ち味は違うけれど、親切という共通項のある、コーチ陣のお顔を思い浮かべながら読み進めました。
どなたの文章からも、筋トレに来たメンバーさんの小さな変化にも喜び、お仕事に誇りを持っておられることがひしひしと感じられました。その中で、"名前"にまつわるエピソードを書かれているコーチがおられました。

 「どうやって名前を覚えているの?」「何人位覚えているの?」と、よく聞かれるが、自分が皆さんの名前を大切にしているには理由がある、と述べられていました。それは、お母様が認知症で、コーチのお名前だけでなく、お顔も覚えておられないけれど、お母様に向って、「M子だよ、わかる?」と話しかけると、オウム返しに「M子ちゃん」と呼び返してくれて、それが本当にうれしい。だから、メンバーさんにもずっと元気でいてほしい、という願いを込めてお名前を呼ばせて頂いているのだ、という内容でした。

 このコーチは、昨年七月、左ひざが痛くて、足を引きずりながら歩いていた私を見かねた友人が、無料体験を勧めてくれた時、担当してくれた人でした。私は、初対面の人と話するのは苦手な方なので、きっと、この時も無愛想な感じだったろうと思います。友人は、「入会する、しないは、ご自分で納得して決めたらいいよ」と言ってくれましたが、私は、「不安感をあおって、入るように勧誘するのかもしれない。そうだといやだ。どう断ろうか...。」と、初めからちょっと構えていました。
こういうタイプの人から、話を聞き取るのって、けっこう骨が折れます。あからさまに拒否する勇気はないので、話の腰を折ったりはしませんが、本心はなかなか言わないのですから。
 でも、M子コーチは、私のそんな、のらりくらりの対応ぶりにもめげずに、柔らかな笑顔で質問を続けられ、ついには、左ひざが痛くて困っているという悩みを探り当て、「改善の為のお手伝いをさせていただきます!」と、力強く宣言されたのでした。
その粘り強い接客ぶりに脱帽し、かつ、少しでも痩せれば、ひざの痛みも軽くなるかもしれない、という淡い期待もあり、さらにはスポーツタオルのプレゼントもいただいた恩も感じてしまっていたので、入会することに決めたのでした。
その後マシンを回る際に、コーチがそばについて下さる期間中、「行く」と約束した日をすっぽかしたこともあったのですが、恐る恐る別の日に行った私の気持ちを察して、「大丈夫ですよ。今日、ご一緒に回らせて頂きますから。」と心に寄り添う言葉をかけて下さったこともありました。

 なので、いつも朗らかなあの人が、こんな背景を持っておられたことに心底驚きました。そして、病室で、コーチがお母様と向き合っておられる様子を想像したとたん、思わず涙ぐんでいる自分がいました。
私は、昨年四月に母を亡くしました。私の母も認知症でした。目の前にいる私に向って、「もうひとりのチエは、どこ行ったんやね?」などと、トンチンカンなことを言ったりしました。そんな言動を見聞きするたび、元気だった頃の母とのギャップに、気分が滅入ることも多々ありました。
 コーチは、私の長男より一つお年が上だと伺ったことがあります。だとすれば、お母様はまだ50~60歳代ではないかと推察しています。私の母は、高齢だったので、認知症になったことにもあきらめがつきました。しかし、コーチのお母様はまだお若いのに、認知症であるという、辛い現実。しかし、その現実を受け止め、たとえ、無意識であっても、お母様が、「M子ちゃん」と、名前を呼び返してくれることに喜びを感じているというくだりに、私はふるえるような感動を覚えました。そして、コーチのお母さまへの愛と、全てを受容する心に、人としての器の大きさを感じます。

 この作文を読ませてもらってから、私の中では、人に対する見方が、少し変わったように思います。
どんなに明るくふるまっている人でも、人には話されない苦悩や悲しみを抱えているのかもしれない。だからこそ、何かを学ぶために、人は一期一会の出逢いを与えられているのではないか、と考えるようになりました。

 Webaddictは、8ヶ月の間に、数キロの体重減と筋力アップというごほうびをくれました。ここに来なかったら、きっと今でも足を引きずりながら歩いていたことでしょう。運動ギライで人見知りな私の背中を押してくれた友人と、そんな私にていねいにお付き合いくださっているコーチの皆さんに心から感謝します。
そして、人の心の深さと、出逢いの素晴らしさを体感させて下さったM子コーチ。あなたにも、感謝と尊敬の念を捧げたいと思います。
 ありがとう。

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